Evil eye
しなやかな白い体が、シンの下で淫らにのたうっていた。
「あ・・・っ」
思いがけず艶やかな声が、常よりもずっと赤い唇からもれる。
仰け反った喉のラインに、目を惹かれる。
そうしてアスランの中は、熟れた肉襞いっぱいに、シンのものを食んで、まるで搾り取ろうとするかのように、蠢いていた。
時に、シンを殴り飛ばすこともある腕は、うつくしいラインを描いてシーツに縋りつき、シンがわずかでも動くたびに、その角度を変え。
長い脚がびくんと跳ね上がり、やがて堪えきれないとでも言うように、その間を穿つシンの腰に絡められた。
「・・・・、シ・・・・・っ」
甘いため息とともに、閉ざされていたアスランの瞳がゆるりと開く。
その場の空気が、変わる。
緑の瞳が、変える。
ぞっとするほど淫蕩な光が、シンの背筋を焼いて落ち。
視線のひとつで、オスに貪られる哀れな贄は、少年を、丸ごと飲み込む貪欲な蛇に替わる。
「ん・・・・」
そうして彼は、それを切なげに閉じることで、再び被害者の皮を被るのだ。
「アスラン、さん・・・・」
惹かれたのは、シンの方が先だった。
いや、今も、アスランがシンに「手ごろなオス」以上の感情を持っているかどうか。
食べたことのない青い果実に興味を引かれ、戯れに歯を立ててみただけと言われた方が、よほどしっくりとくる、関係。
それでも、シンは必死にアスランを追っていた。
抱いて、叫んで、反抗して。
全身全霊で、自分を見て欲しいと訴えた。
他に方法なんて知らない。
このキレイな人を、自分のものにする、方法なんて。
「あ・・・・ぁ」
穿つ動きを激しくしたシンに揺すり上げられて、アスランが喘ぐ。
程よく筋肉のついた滑らかな胸が、打ち上げられた魚の生々しさで跳ね、シンは思わずそこに頬をすり寄せて・・・果てた。
「っあ・・・・」
中に放たれたシンのものを、味わうように腰がうねる。
「ぁ・・・・ふ」
少年の精をたっぷりと搾り取った満足のため息は、しかしまだ、熱を帯びて、甘い。
「こ、ら」
シーツを掴んでいた長い指がシンの腕に伸ばされて、力任せにぐいと引いた。
アスランの瞳が再び開く。
彼が、この場を支配する。
「ご、ごめんなさい」
自分だけ先にイったことを咎められ、謝ったシンの声も、まだ酷く上ずっている。
「でも、まだ」
力を持ったままのものを、ぐい、と押し付けねがら、シンはイかせることが出来なかったアスランのものを、やわらかく握りこんだ。
「っあ・・・・」
ゆるく喘いだアスランは、何度か瞬いてから、ゆっくりと目を閉じた。
「仕方ないな・・・」
仕方ない。
しょうがない。
諦めの意味を持つ言葉を、シンは悔しく、そして嬉しく思う。
仕方がない、と諦められてしまう、子供でしかない自分が情けない。
どこまでも、この人に追いつけなくて、悔しい。
それから。
「お前だから、許すんだからな・・・・」
こうして、彼に甘やかしてもらえること。
これは、「子供」の自分だけだから、嬉しい。
「うん」
頷いて、謝る代わりにキスをする。
する、と。
怖いばかりだった緑の瞳が、ふうっと。
打って変わったやわらかな光を湛えて。
笑んだ。
思わず見とれたシンは、ぺちんと頬を叩かれて我に返る。
アスランの瞳に、もうあの笑みはなく。
いつも以上に険のある光を得て、少年を射抜いていた。
「シン」
「あ・・・す、すいません」
シンは、慌てて腰を動かし、手の中のそれを、丁寧に刺激しはじめた。
幼い少年の精一杯。
今は、この淫らな人を、気持ちよくさせてあげること。
「あっ、あっ、は・・・ンぁ・・・・」
再び甘い声で喘ぎだしたアスランの瞳は、もう閉じられてしまったけれど。
その、震える瞼を見下ろしながら、シンは思う。
きっと、きっと。
俺はこの人を手入れる。
イヴル・アイの奥にある、あのやわらかな笑みは。
きっと、シンだけのものだから。